犬を家族に迎えたばかりで、基本的なしつけに悩んでいませんか?
「おすわり」は犬のしつけの基本中の基本です。
でも、なかなかうまくいかない、犬がすぐに立ち上がってしまう、外では全くできないなど、多くの飼い主さんが同じ悩みを抱えています。
この記事では、犬の「おすわり」をスムーズに教えるコツと、よくあるトラブルの解決策をご紹介します。
犬のおすわりの重要性と基本知識
「おすわり」とは、犬がおしりをしっかりと地面につけて座っている状態のことです。
この単純な動作が、実は犬との生活において非常に重要な役割を果たします。
なぜおすわりが大切なのか
- 犬の興奮状態を落ち着かせる効果がある
- 問題行動(飛びつきなど)を予防できる
- 「フセ」「マテ」など他のしつけの基礎となる
- 散歩中の危険から犬を守る手段になる
特に子犬のうちに「おすわり」をしっかり覚えさせておくことで、その後のしつけもスムーズに進みます。
「おすわり」ができれば、食事の前や散歩に出かける前、来客時など様々な場面で犬をコントロールできるようになります。
おすわりを教え始めるベストなタイミング
子犬の場合は生後3ヶ月頃からトレーニングを始めるのが理想的です。
この時期は吸収力が高く、基本的なしつけが身につきやすいタイミングです。
ただし、成犬になってからでも決して遅くはありません。
まずは信頼関係を築き、新しい環境に慣れてきたら少しずつしつけを始めていきましょう。
犬のおすわりがうまくいかない原因と悩み
「おすわり」のしつけでよく見られる悩みには、以下のようなものがあります。
よくある困りごと
- おやつを見せるとすぐに立ち上がってしまう
- 「おすわり」という言葉の意味を理解してくれない
- 家の中ではできるのに外ではできない
- おやつがないとおすわりしない
- おすわりの姿勢が安定しない(前足が浮く、おしりが浮く)
- 誘導しようとすると後ろに下がってしまう
これらの問題は多くの飼い主さんが経験しています。
Yahoo!知恵袋などでも「子犬がお座りを覚えません」「飛び跳ねてしまいお尻が下がりません」といった相談が多数見られます。
ではなぜこのような問題が起きるのでしょうか?
主な原因として以下が考えられます:
- タイミングが合っていない:褒めるタイミングが遅すぎたり早すぎたりする
- 犬が興奮している:集中できない状態でトレーニングを行っている
- 教え方が一貫していない:家族によって言葉や動作が異なる
- 環境の変化:慣れた場所と違う環境だと緊張や興奮で集中できない
効果的な犬のおすわりの教え方のコツ
それでは、実際に「おすわり」を教える方法を、ステップバイステップで解説します。
準備するもの
- ごほうび用のおやつ:小さく切った、カロリーが低めのもの(小型犬なら小指の爪の1/3程度の大きさが理想的)
- リード:集中力が保てない場合に動き回るのを防止する
- 静かな環境:テレビの音や子供の声など、集中を妨げる要素が少ない場所
おすわりを教える基本ステップ
- ステップ1:犬の注意を手に集中させる – おやつを握った手を犬の鼻先に近づけ、匂いだけで感じさせる
- ステップ2:鼻先が上を向くよう手を動かす – 「犬の頭が上がれば、お尻が下がる」の原理を利用
- ステップ3:お尻が地面についた瞬間に褒め、おやつを与える – タイミングが重要
- ステップ4:「おすわり」の言葉を追加 – 手の動作の前に「おすわり」と声をかける
- ステップ5:徐々におやつを減らし、褒め言葉や撫でるなどに置き換える
トレーニングを成功させるコツ
- 短時間で教える:1回5分程度の短いセッションを1日に3?5回行う
- 褒めるタイミングを合わせる:お尻が地面に着いた瞬間に褒める
- 家族で指示語を統一する:「おすわり」か「シット」かどちらかに統一する
- 犬のペースに合わせる:無理に進めず、犬が理解できるペースで行う
- おしりを押さない:手で押すのではなく、犬が自分でおすわりするよう誘導する
犬のおすわりがうまくできない場合の解決策
「おすわり」のトレーニングでよく起こる問題とその解決策を見ていきましょう。
後ずさりして座らない場合
- 壁や家具の前でトレーニングし、後ろに下がれないようにする
- 犬のお尻に手を軽く添えて下がらないようサポートする
- リードを付けて後ろに下がれないようにする
飛びついてしまう場合
- 手をより高い位置に上げ、飛びつけないようにする
- 自分のあごの下に手を引き寄せ、犬を注目させる
- おやつが見えないようしっかり握って匂いだけで誘導する
おやつがないとおすわりしない場合
- さまざまなごほうび(撫でる、言葉での褒め、おもちゃなど)を使う
- おやつを持っているか分からないよう、時々空の手でも練習する
- おやつを与える頻度を徐々に減らし、成功10回に1回など間隔を空ける
外でおすわりできない場合
- 段階を踏んで環境に慣れさせる(家の中→玄関→庭→静かな道→少し賑やかな場所)
- 外出初めは静かで刺激の少ない場所を選ぶ
- 外出前に少し運動させ、興奮を抑える
前足やおしりが浮く場合
- 誘導する手の位置を調整する(高すぎると前足が浮く、低すぎるとおしりが完全に下がらない)
- お尻がしっかり地面に着いてからごほうびを与える
- 姿勢が完全に取れるまでは報酬を与えず待つ
犬種による犬のおすわりの教え方の違い
犬種によってトレーニング方法を少し調整する必要があります。
小型犬の場合
- チワワやポメラニアンなどは体が軽いため飛びつきやすい傾向がある
- 誘導する手の位置を低めに設定し、細かく調整する
- 超小型のおやつを用意し、少量でも満足できるようにする
大型犬の場合
- ラブラドールやゴールデンなどはトレーニング前に十分な運動で体力を発散させる
- 座る姿勢が安定するよう、広いスペースを確保する
- 力が強いため、後ずさりしないよう壁際などでトレーニングするとよい
足腰に注意が必要な犬種
- ダックスフンドやコーギー、フレンチブルドッグなどは関節に負担をかけないよう注意
- 柔らかいマットや滑りにくい床の上でトレーニングを行う
- 無理な姿勢を長時間維持させない(特に「マテ」との組み合わせ時には短時間から始める)
おすわりができるようになったら
基本的な「おすわり」ができるようになったら、次のステップに進みましょう。
ステップアップ方法
ステップ | 内容 | 目的 |
---|---|---|
おやつを減らす | おやつの頻度を徐々に減らし、言葉だけで反応できるようにする | ごほうびがなくても指示に従えるようになる |
時間を伸ばす | 「おすわり」の姿勢を維持できる時間を徐々に伸ばす | 「マテ」のトレーニングにつなげる |
場所を変える | 様々な環境でも「おすわり」ができるよう練習する | どんな場所でも指示に従えるようになる |
距離を取る | 徐々に飼い主との距離を取りながら練習する | 離れた位置からでも指示に従えるようになる |
他のしつけへの発展
- マテ(待て):「おすわり」の姿勢から発展させ、一定時間その姿勢を保つよう教える
- フセ:「おすわり」からさらに前に伏せる姿勢を教える
- お手・おかわり:飼い主との触れ合いを増やし、ハンドリングに慣れさせる
よくある質問と回答
Q1: 子犬はおすわりをどのくらいで覚えるものですか?
個体差がありますが、多くの子犬は毎日5分程度のトレーニングを続ければ、1~2週間程度で基本的な「おすわり」を覚えます。ただし、様々な環境でも確実に「おすわり」ができるようになるには、1~2ヶ月かかることもあります。焦らず、犬のペースに合わせて根気よく続けることが大切です。
Q2: 成犬になってからでも「おすわり」を覚えられますか?
はい、成犬でも十分に「おすわり」を覚えることができます。子犬と比べて時間がかかることもありますが、正しい教え方で根気よく続ければ必ず覚えます。特に飼い主との信頼関係が築けている場合は、より早く習得する傾向があります。
Q3: おすわりの練習は1日にどのくらいすべきですか?
- 1回のトレーニングは5分程度の短時間に抑える
- 1日に3~5回程度に分けて行うのが効果的
- 犬が飽きたり疲れたりしたら、すぐに中断する
Q4: トレーニング中に犬が飽きてしまったらどうすればいいですか?
犬が飽きたり、集中力が切れたと感じたら、一旦トレーニングを中断しましょう。短い散歩や遊びで気分転換をした後、また改めてトレーニングを再開するのがおすすめです。無理に続けると、しつけに対して苦手意識を持ってしまう可能性があります。
Q5: おやつ以外のごほうびにはどんなものがありますか?
- たっぷりの褒め言葉:「イイコ!」「上手!」など明るく嬉しそうな声で
- 身体的なスキンシップ:撫でる、軽くマッサージする、抱きしめるなど
- お気に入りのおもちゃで短時間遊ぶ
- 普段できない特別なこと(特定の場所に行く、新しい散歩コースなど)
Q6: 犬がおすわりを覚えても外では実行できません。どうすればいいですか?
外では刺激が多く、犬は集中しにくい環境にあります。まずは自宅の玄関先など、外に近い場所から練習し、徐々に人や車の少ない静かな場所、そして少し賑やかな場所へと段階的に環境を変えていくことで、様々な場所でもおすわりができるようになります。初めは外出先でもおやつを使い、成功率を高めることが大切です。
まとめ:犬のおすわりトレーニングを成功させるポイント
- 「おすわり」は犬の基本的なしつけとして非常に重要
- 短時間で集中して行い、適切なタイミングでごほうびを与えて褒めること
- 犬種や個体によって習得スピードは異なるので、焦らず根気よく続けること
- 様々な環境でも「おすわり」ができるよう、段階的に練習すること
- 「おすわり」をマスターすれば、他のしつけもスムーズに進められる
トレーニングのポイントは、短時間で集中して行い、適切なタイミングでごほうびを与えて褒めること。そして何より、飼い主も犬も楽しみながら取り組むことが成功の鍵です。
愛犬が「おすわり」を完璧にできるようになるまでには時間がかかるかもしれませんが、焦らず犬のペースに合わせて根気よく続けることで、必ず成果は表れます。「おすわり」ができるようになったら、そこから様々なしつけへと発展させ、より賢く、より幸せな愛犬との生活を目指していきましょう。